はじめまして、タンザニアのキリマンジャロ近くでコーヒー農園を経営している3代目のレオンです。2007年からスペシャルティコーヒーの生産を始めました。品質面で世界を牽引するスペシャルティコーヒー生産国として、タンザニアが認知される未来をつくることが長年の夢です。

農園を自然に近づける

2017年、私たちはシェードツリーの栽培、植樹を本格的に始めました。農園内にゾウやバッファローなどが入ってこないように電気柵を設けたことがきっかけです。それまでは、農園に吹きつける風の影響を軽減してくれるグレビリアという種類の木に絞って、農園の周縁部に植えていました。

電気柵を設置してからは、新しくコルディア・アフリカーナ、アルビジアという木の苗も育て始めました。これらは主に農園内に植える予定です。一方でアカシアの木は象徴的で美しい反面、大きな棘があり、トラクターのタイヤに穴が空く、人が怪我をするといったリスクもあるので、農園のまわりに植えます。

私たちは「アグロフォレストリー＝木とともにある農業」の考え方にもとづき、農園を「コーヒーを育てるための土地」ではなく、「多様な生物が共存する自然」に近づけていきます。

シェードツリーの苗床はタンザニア政府や一部の人々が所有しています。簡単に増殖させられる（量産できる）グレビリアに対して、コルディア・アフリカーナやアルビジアはなかなかまとまった量が手に入らないため、グレビリアしか視野に入れていない小規模生産者がほとんどです。

そこで私たちはアカシアヒルズを小さな“研究所”にして、シェードツリーを植える取り組みを波及させていきたいと考えています。4種類の木の苗木を提供すると同時に、私たちが植えて学んだことをすべて共有していきます。

希望が行動を変えていく

5,500万人以上の人口を抱えるタンザニアは、後発発展途上国のひとつで、国民の7人に1人が極度の貧困に苦しんでいると言われています。その原因は複雑で、教育や医療、農業技術・知識の貧困が絡み合っています。そんな国で、小規模生産者たちが安定した高品質のコーヒー生産で生計を立てられるようにサポートすることが私たちのミッションです。

タンザニアの小規模生産者のなかには教育の機会に恵まれなかったため、知識やノウハウを自分で得ることが難しい人も少なくありません。だからこそ大事なのが、やってみせることです。どれだけすばらしい構想を描き、希望に満ちた未来を語っても、その言葉やイメージが現実になったときの説得力には敵いません。目に見える成果が、人の行動を変えていくのです。

品質面で世界を牽引するスペシャルティコーヒー生産国としてタンザニアが認知されるようにするためには、人を選ばない「再現性」が欠かせません。私たちは（同じくシェードツリーを植える）OKAGESAMAの森プロジェクトやTYPICA Clubのサポートを最大限活かしながら、小規模生産者たちの希望をつくり出したいと考えています。

アプリで生育状況を確認できます！

その苗木の生育状況は、日本にいる会員の皆さんにもTreetrackerというアプリを通じていつでも確認していただけるようにします。すでにこのアプリの開発者とは連携しており、アカシアヒルズの農園内にある若木の生育状況が見られます。（こちらのリンクを開き、「8」のマークをクリックし続けてください）

皆さんから頂戴したチップはシェードツリーの苗木代に使わせていただきます。皆さんのおかげで植えることができたシェードツリーは、やがて大きくなるとコーヒーの味を美味しくしてくれます。自然が相手なので一朝一夕に成果が出るというわけにはいきません。気長に楽しんでいただければ幸いです。